お酒を購入して、こんな経験をしたことありませんか?
- 瓶の中に小さな固形物が浮遊している
- 瓶底に異物が溜まっている
お酒に少し詳しい方はご存知だと思いますがこれは「澱(おり)」と呼ばれるもの。決して見栄えがいいわけではありませんし、異物が混入してるわけですから、そもそも飲んで大丈夫なの?と不安になる人も多いと思います。
今回はそんなお酒に発生する「澱(おり)」について解説していきます。
お酒の澱(おり)について
お酒における澱(おり)を簡単に説明すると、お酒の成分が固まったものです。でも購入する時には存在しなかったのに、飲もうとしたときに発生してるってあまりいい感じはしませんよね。実はこの澱(おり)、環境の変化によって発生します。長期保存していたお酒、寒いところで保管していたお酒などに澱(おり)の発生が見られることが多いです。
澱(おり)が入っているお酒は飲める?飲めない?
前項でも説明した通り、澱(おり)はお酒の成分が固まったものであり、体に害があるものではありません。ただ見た目に美しいものではありませんし、飲むことが不快に感じるのであれば飲む際に取り除いたり、瓶を振って溶かしたりして飲むことことをお勧めします。
澱(おり)のあるお酒はいいお酒の証拠?
巷で「澱(おり)の入っているお酒はいいお酒の証拠!」なんて噂を聞いたことがありませんか?この言葉自体に根拠はないものの、「長期保存していたお酒」に発生しやすいという点では、お酒として熟成期間を長く経ていることで、丸みの取れた味わいが「いいお酒」と定義付けているのかもしれません。また、逆に考えるとお酒の成分が固まって澱(おり)がないお酒は、お酒の成分が少ないお酒と思われる方もいるかもしれません。
日本酒の澱(おり)について
日本酒は米、米麹、酵母、仕込み水を混ぜ合わせ「もろみ」を作り、そのもろみをこす「搾り」という工程があります。絞り終わった液体の中にも小さな固形物が存在します。これが日本酒における澱(おり)です。一般的な日本酒はここから数日間放置し、澱(おり)を沈殿させ上澄みを取り出して(澱引き)作られていきます。
どぶろく、にごり酒、おりがらみの違い
日本酒にお詳しい方は「どぶろく」「にごり酒」「おりがらみ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。じつはこの3種のお酒、どれも日本酒なんですが澱(おり)を取り除く工程の違いで名前が変わっています。
どぶろく
もろみをこす「搾り」の工程を省いたお酒。もろみ入りの日本酒。「搾り」の工程を経なければ「清酒」とは言えないことから、どぶろくは「その他の醸造酒」のカテゴリーに属します。
にごり酒
通常「搾り」の工程は「酒袋」と呼ばれる布の袋にもろみを入れて搾る方法がありますが、目の荒い網目のようなザルを用いてあらごしして造られるものをにごり酒といいます。
おりがらみ
絞りの工程を行った後に残った小さな固形物(澱(おり))を残すお酒です。
焼酎の澱(おり)について
焼酎の旨味成分が含まれるフーゼル油と、アルコールを調整するための割り水に含まれている鉄分やカルシウムが結合して澱(おり)が発生します。また、気温によっても発生しやすく、気温が下がると現れて来ることが多いです。品質には全く問題がありませんが、瓶を振ると焼酎に溶け込んでいくので、気になる場合は振って溶け込ませましょう。また、焼酎における澱(おり)は「焼酎の華」と言われており、焼酎好きの方の中には美味しい焼酎の証として考えられている人もいます。同じ蒸留酒であるウイスキーなどでも澱(おり)は発生します。
ワインの澱(おり)について
澱(おり)を見つけやすい代表的なお酒といえば赤ワインではないでしょうか。特に熟成期間の長い赤ワインはタンニン、アントシアニンといった色素成分が結晶化して発生します。もちろんワインの澱(おり)もお酒の質が低下しているわけではありません。ただ焼酎やウイスキーなどの澱(おり)と違い、振ってお酒の中に溶けていくものではないですし、口当たりが残るものですので、飲む飲まないは好みが分かれるところです。