一昔前、芋焼酎はおじさんが飲むものという位置付けのお酒であり、芋臭さは芋焼酎である代名詞でした。しかし最近ではその芋臭さを抑え、スッキリ、フルーティな焼酎が台頭してきています。芋くさい焼酎が好きな人からすれば少し物足りなく感じるかもしれません。
では、なぜフルーティ路線の焼酎が台頭してきたのか、その理由とフルーティな焼酎を探す上での選び方も紹介していきます。
フルーティな焼酎が人気な理由
実は「フルーティな焼酎が人気」というよりも、これまでの焼酎が好きな方々はそのままに、新たな層が「フルーティな焼酎」を好むようになった。という方が正しいかもしれません。そもそも焼酎は他のお酒に比べてカロリーが少なく太りにくいなどの理由からダイエットなどを気にする層や、「心筋梗塞に効果がある」「血栓を溶かして動脈硬化を防ぐ」など、 酒は体に悪い!を覆すデータが出揃ってきたことも様々な人が手を出しやすい理由の一つ になってきました。
関連記事 焼酎はダイエットに効果あり?焼酎は「痩せたいけどお酒が飲みたい人」にオススメです
関連記事 お酒にみられる血栓・心筋梗塞等の予防効果と、中でも焼酎をおすすめする理由
また、これまで芋焼酎を芋臭いという「香り」で敬遠してきた人が、フルーティな香りに惹かれて愛飲するようになることは自然なことなのかもしれません。
フルーティな香りを決定づける焼酎の成分
焼酎の香りは「原料由来の香り」「麹由来の香り」「酵母由来の香り」「蒸留する過程の香り」など様々な段階で生成されます。下記の香りは一例ですが、フルーティな香りの成分と言われています。
関連記事 「焼酎の香り」はどんな物質で生成されてる?匂いの成分一覧
フルーティな香りを引き立たせる要因
原材料について
芋焼酎の原料となる芋。その種類が違えば焼酎の味、甘みや香りなど様々な要素が変わります。
焼酎用の芋としてお馴染みのコガネセンガンをはじめとし、安納芋や紫芋(エイムラサキ・アヤムラサキ・ムラサキマサリ等)、紅芋(紅はるか・紅あずま・紅おとめ等)、ハマコマチ、ジョイホワイトなど様々な芋の種類が原料とされています。また、 芋の品種以外の要素として芋の保管方法や、製造時の切り方などによっても焼酎の味わいは変化します。
麹について
焼酎に使われている麹には白麹・黒麹・黄麹が存在しますが、その中でも黄麹は、日本酒を造る上でも使われてきた種麹であり、明治の終わりころまでは焼酎のほとんどが黄麹を使って造られていました。しかし黄麹はデンプンの分解力が強い反面、クエン酸を分泌しないことから、雑菌が繁殖しやすいため品質管理が難しく、焼酎造りは明治43年に発見された黒麹、大正13年に発見された白麹を使った焼酎の製造が増えていきます。 黄麹は白麹・黒麹に比べて日本酒のようなフルーティさと特有の繊細で奥深い味わいが特徴です。
酵母について
フルーティな焼酎に使われてる酵母は、吟醸酵母やワイン酵母、CEL24酵母、きょうかい1801号酵母などが使われていることを確認しています。一部弊社の実験段階でも使っておりますが、もちろんここで紹介した酵母以外にも、例えばカプロン酸エチルを多く生産する酵母であったり、様々な酵母が存在します。酵母に限ったことではありませんが、どの酵母を使っているかは企業秘密のため情報をオープンにしていない蔵元もあります。
蒸留方法について
減圧蒸留は蒸留機内の気圧を下げ低温(40~55℃くらい)で蒸留を行います。低温で蒸留することで、高沸点の成分であるフーゼル油などの気化が抑えられるため、減圧蒸留で造られた焼酎は、常圧蒸留で造られた焼酎に比べて雑味がなくクセがなくすっきりとしています。フルーティな味を表現する上で邪魔な成分はできるだけ抑える。それが減圧蒸留を選び蒸留する理由のひとつでもあります。
まとめ
あくまでフルーティな焼酎は、今回紹介した原材料や麹、酵母、蒸留方法をもとに造っている傾向があるので、フルーティな焼酎を探している時の一つの目安としてお考えください。しかしながら、 この目安に当てはまらない焼酎が存在するのが、焼酎の面白いところでもあり、それを見つけるのが飲む楽しみでもある と思います。この芋の種類だから、この麹だから、この酵母だから、減圧だから常圧だからとカテゴライズしないことが新しい焼酎との出会いでもあると思います。
ちなみに現在弊社にあるM3セット(正春酒造、寿海酒造とコラボした焼酎)の減圧蒸留が長期熟成のフルーティな焼酎に当たり、ほのかにリンゴのような香りがあります。ご興味いただけましたら飲んでみてはいかがでしょうか
おすすめ M3(2本セット)