「暑気払い」という言葉をご存知ですか?
日本には昔から「暑気払い」という、体を冷やす食べ物を食べて体に溜まった熱を取り除く文化があります。トマトやナス、キュウリやスイカ、夏野菜などの、旬の食べ物を食べることで暑い時期に体調を整えてくれる効果があります。
ちなみに収穫時期が夏である麦で作られたビールも暑気払いの飲み物の一つとされています。
暑くなってくるとビールが欲しくなる理由の一つは「体を冷やしてくれるという効果があるから」と言っても過言ではありません。夏にビールを飲む口実になってしまいますね(笑)
そしてもう一つ、日本には昔から暑気払いとして飲まれていた「本直し」という焼酎をみりんで割ったカクテルが存在します。お家で簡単に作れるので試してみましょう!
本直しとは
本直しとは焼酎をみりんで割ったもので、東京では「本直し」と呼ばれ、大阪・京都など関西方面では「柳蔭(やなぎかげ)」と呼ばれているお酒です。とはいえ今では飲まれることは少なく、江戸時代によく井戸などで冷やされて飲まれていた夏のカクテルになります。
「焼酎をみりんで割る」というとピンとこないかもしれませんが、麦芽とホップで作った飲料(外)を焼酎(中)で割るホッピーのようなものと考えてもらえればイメージしやすいかもしれません。
また、みりんの原料は焼酎という点からも、焼酎とみりんの相性の良さが分かるでしょう。
本直しの歴史
本直しの歴史は、戦国時代〜江戸時代に遡ります。
元々は飲み物として作られていたみりん、その甘い口当たりはお酒を飲めない人や女性に人気で、その当時は高級酒として扱われていました。
1990年代の酒税改正により料理酒とみなされた本直しはその安さも手伝ってか最注目されるようになり、販売量が激増しました。しかし2000年の酒税改正により税率が上がってしまったため販売量が減ってしまった背景があります。ちなみにお正月に飲む「おとそ」にみりんが使用されていたり、養命酒の原料に使われてもいます。
本直しを飲む上での注意点
本直しは前述している通り、焼酎とみりんを合わせた飲み物です。難しく考えず自分の好きな割合で割って冷やして飲みましょう。ただし注意する点もいくつかあります。
法律的問題
みりんは焼酎を原料としているので当然ですがアルコールになります。そのみりん(アルコール)に焼酎(アルコール)を混ぜることは実は酒税法に抵触します。簡単にいうと「お酒に何かを混ぜて別のお酒を作り出すのはNGですよ」ということです。とはいえ「個人で飲むこと」「作り置かないこと」を条件に無免許でも許されています。
国税庁のホームページ「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達」の、みなし製造という項目を見ていただくとより詳細な内容が説明されていますので興味のある方はご確認ください。
飲みやすいけど酔います
焼酎を割る際はロックだったり、水割りやお湯割、お茶で割ったり基本的にノンアルコールで破られることが多いと思います。今回の本直しは、みりん(アルコール)と焼酎(アルコール)を割って飲むので、普段ノンアルコールで割って飲まれている方は、その甘い口当たりからついつい飲みすぎてしまった。ということもありえますし、冷やすことによりさらに飲みやすくなります。
冷や酒はついつい飲みやすく飲みすぎてしまいがちです。飲みすぎには注意しましょう。
本みりんを使うこと
ここまで紹介してきた「みりん」は本みりんのことです。
実はご家庭にあるほとんどのみりんは「みりん風調味料」であったり「発行調味料」というカテゴリーでありノンアルコールのものがほとんどです。焼酎を原料としている本みりんとは似て非なるものです。本みりんは酒屋さんでも売られていることがありますので、もし何を買って良いのかわからない場合、酒屋さんに相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
暑くなってくる時期、ビールも美味しいですが、あまり飲めない方や甘いお酒が好きな方には「本直し」オススメです!甘さを調整してもアルコール度数は下げられないのでそもそもアルコール度数の低い前割り焼酎と割ってみたり、本直しに氷を入れてロックで飲むのもオススメです!
前割り焼酎に関しては、過去記事でも紹介しているのでこちらの記事もどうぞ